こちらでもご紹介したとおり、日田市を流れる三隈川・大山川・玖珠川・津江川にはアユの天然遡上は一切ありません。
そこで、川漁師さんらで組織する漁業協同組合さん、通称「漁協(ぎょきょう)」が毎年、アユの稚魚を仕入れて放流することで、日田市内のアユの生息を維持しているというわけです。
日田市内の漁協のうち、三隈・大山・玖珠川の漁業を管轄する「日田漁協」さんでは、5月20日のアユ漁解禁に向けて、1月6日よりアユの稚魚受け入れが始まりました!
日田漁協さんは、大山町に養殖施設を所有しているので、よりたくさんのアユを河川に放流するために、サイズの小さな稚魚を多く仕入れ、10㎝ほどの放流サイズになるまでを養殖池で丁寧に育てます。
この日は、国東市で生産された5㎝ほどの稚魚およそ18万尾を日田まで輸送しました。
写真の青いタンクに稚魚が入っているのです!
アユは、自然界では一般に稚魚期を河口付近の海でで過ごします。このため、養殖の場合もこれに近い環境を作らなければなりません。つまりは海水を作るということ。
下の写真をご覧ください!池ひとつに対して、200㎏もの塩を溶かして、海水を再現するのです。
この中に稚魚を放ち、淡水をかけ流しながら育てることで、徐々にアユの体を淡水に順応させるわけです。
また、5㎝程度のアユは体を守るウロコがようやく形成され始める頃で、とってもデリケートな時期です。なので網ですくおうものなら、すぐに体に傷が入り死んでしまします。
ではどのように池へ運ぶか。ここで利用するのが「サイフォンの原理」です。池より高い位置に稚魚の入ったタンクを設置し、水の入ったホースで池とタンクをつなぎます。すると、池とタンクの高低差によって、ホースの中に勢いよく稚魚が吸い込まれ、池へと放たれていきます。
タンク内に取りこぼしがないように、重いタンクを傾ける組合員さんたち。
放たれた稚魚は、あっという間に池の中心部に群れを作って、ぐるぐると元気よく泳ぎ始めました!
日田漁協さんではあと数回、稚魚の受け入れを繰り返し、最終的に100万尾のアユを育てます。
稚魚の受け入れから放流サイズになるまでは、およそ3か月。100万尾ものアユを飼育しなければならないので、大変な管理になります。
元気な姿で川に旅立つ日を想いながら、漁協の組合員さんが一丸となりアユのお世話をしていきます。河川放流の日、またその様子を紹介したいと思います!
お楽しみに。